『CYNTHIA THE MISSION』、『ミカるんX 』と大当たりはないもののコンスタントに描いてきた著者の作品です。
主人公の南風原海空(はえばるみそら)は、歌手になることを目標にグラビアアイドルとして仕事をしています。彼女はKカップというとんでもない胸を持っており、その胸のために毎回様々な困難が立ちはだかるのですが、毎回、得意の琉球空手で何とかしていくという話で、褐色っていいよなと思わずにいられないマンガです。
文章にしても怪しい感じが漂っていますが、実際このマンガ本当に下品です。普通の青年誌だと苦しいというレベルのネタのオンパレード。
別冊漫画ゴラクに連載しているそうなのでさもあらんというところですが、著者のインタビューによると、AVで女性の格闘家が男性に負けたらやられてしまうというのが元になっているようです。
1話の百人組手に勝てたらやらなくていいよという話はまんまAVといっていいでしょう。海空は、男性相手に立ち回りをするわけですが、ここでの格闘描写はなかなか見応えがあります。女性がやられそうになるも男に対して反撃し、破壊していくというのは極めてニッチなジャンルであり、そこをしっかり描いてきているのは評価すべきでしょう。
考えてみると女性が殴り合う格闘マンガって相当少ないですね。女子総合格闘技の話である『鉄風』は登場人物が鍛えられていて、体つきが男性に近かったですし、かわいい女性が殴り合いというのは相当描くのが難しいのでしょう。インタビューでもそのへんの苦労には触れていました。
相変わらず戦いの後インタビュー形式で振り返るシーンが何回もあったりするなど、随所でバキを意識した書き方はしていますが、本作ではだいぶバキの影響は薄れていると思いました。最高に下品で低劣な内容でありながら、マンガとしては作者の集大成といっていいでしょう。マンガを読んでいればいるほど楽しめる内容です。