元証券会社勤務のブロガー「ちきりん」とプロゲーマー「梅原大吾」という、ある意味対極に位置する2人の対談をまとめた本です。
なんかタイトルが某ドラマみたいだなと読み終わった後に思いました。
ちきりんは国立大学を経てアメリカの大学院で修士号をとり、外資系証券会社に勤務。現在はリタイアしてブロガーをやっているという超エリート。
かたや梅原は17歳のとき格闘ゲームで世界一になり、高卒後アルバイトをしながら格闘ゲームを続け、23歳でゲームの世界を離れました。その後28歳で復帰。翌年アメリカの企業とプロ契約を結び、日本人初のプロゲーマーになったという経歴の持ち主。
これだけ立場も経歴も違う2人が話すという、なかなか興味深い対談本です。
第1章では学歴について話し合っています。
学校では梅原はずっと寝ていたと言いますが、大卒という学歴は取っておいた方がいいと言います。
梅原は、学歴のない人間に対して、人間は、口調や態度といった醸し出す空気で見下してくると言っており、レジから金が無くなった際には、学歴のない自分が真っ先に疑われたという話は確かになと思いました。
サラリーマンの仕事は大変でも惨めではないが、悲惨な世界を這いずり回っていた経験があり、そのつらさが身にしみてわかっているという梅原の言葉は実感がこもっています。
今こういった本を出す人はほとんどが大学に行っており、高卒の人の本を読む機会は少ないですが、梅原の言葉は重みがあります。
それと、今の学校では競争の物差しがテストしかないということについての話も印象深かったです。
人生の大前提として闘いがあるから、早い段階からそれをわからせないといけない。
学校教育により多くの競争を持ち込み、色々なことで競争させることで、子供のうちから得意なこと、不得意なことに向き合わせるべきだという梅原の意見は、そのとおりだと思いました。
作中で最も印象深かったのは今の居場所を見つけるためにあがいてきたという話ですね。
梅原は、他の仕事をしてあがいた末に「やっぱりここにしかない」という感覚にたどりついたといい、本気を出してあがいた経験を経ないとこのレベルの納得感は得られないと語っています。
世界王者になった人間でも自分が歩むのは「この道だ」という確固たる思いをもつのは、簡単ではないという話ですが、人生は厳しいなと思いました。
そのほか幸せな人生とはどんな人生かといったことについても話し合っており、なかなか楽しめる内容になっています。
ゲームの賞金750万円を寄付したというエピソードや、強いだけではダメだという話も印象深かったです。
梅原は、ゲームがどれだけ強くても「勉強しなくていいのか」という不安は常に抱いていたようです。
常に悩んできた彼の意見はなかなかハッとさせられるようなものが多く、この人の著書をもっと読みたいと思わせてくれます。さすが道を究めた人間の言うことは違います。
対照的にちきりんの発言は煽るようなものが多く、軽いと感じました。
彼女は対談中も学歴がないことについての惨めさを想像できないと言いますが、それはないよなと読んでいて思いました。
対談本はあまり好きではないですが面白かったです。